あかね雲
概要: そうなると……ルーランが言った通り、「緑の座以外の皇族はさほど偉くない」になるのは当然でしょう。 日本の皇室でもそうでしたけど、ああいうのって知名度と偉さがリンクしてます。「誰もが存在を知っているから偉い」部分があるのですから。 民は生まれたことも知らず、顔も知らず、名前も知らない。 そんな皇族が偉いかどうかというと、激しく疑問です。「新しく緑の座になると、お披露目が行われる。それまでは、皇宮に出...
概要: ――ルーランが、着飾るのなんて無駄、と切り捨てた理由がヨクワカリマシタ。 皇宮の人たちは、緑の座への礼儀として、私を身綺麗にしただけだってことも、ヨクワカリマシタ。 ――世の中、あれほどまでに綺麗な人がいるんですね……。 私は感動までしてしまいました。 緑の座に、ではありません。 緑の座の隣に立っていた御方に、です。 ――鼻血出るかと思いました。 会談の最中、ずうっとガン見してました。 皇帝陛下? すみ...
概要: 皇帝陛下にお会いするのです。 無礼な格好ではいけませんよね。 かといって……以前ルーランからもらったあの綺麗な服は、ちょっと……ルーランの歯に衣着せぬ毒舌でトラウマです。みっともないって言われて、不細工と言われてまで、着たくありません。見るたびに思い出すのでもうトラウマの塊になってます。 着たくないです……似合わなくて不細工なんですから。 でも、じゃあ、何を着て行きましょう、という問いに、ルーランは実...
概要: 表、っていうことは。「……裏も、あるんですよね?」「もちろん」 と、ルーランは楽しげに言いました。 半年も一緒に暮していれば、気づきます。 ルーランは、こんな風に私が突っ込んだ質問をすると喜ぶんですよね。 ……なーんとなくわかります。物分かりの悪い相手に教えるより、鋭い質問をしてくる生徒(自分で言うのも何ですが)の方が教師も可愛い、という感じ?「皇家は、瘴気浄化能力者を抱える唯一の者たちだ。というこ...
概要: ――その日。 ルーランは、しかめっ面でした。「どど、どうしたんです?」 私がこっちに来てから、半年が経ちました。 あの日以来、すっかりルーランと一緒に寝る習慣がついてしまった私です。 今朝起きたときはルーランの機嫌は普通だったんですが……。 あ、一緒に寝てますが、色っぽいことは皆無ですよ。皆無。 男女間の友情というか、親愛の情というか、保護者と愛玩物というか……うう考えると沈んできたのでこの辺で。 と...
概要: 気がついた時、私は、全裸でした。 縛られていないのに、ぴくりとも体が動きませんでした。 診察台のような、ビニール製の台の上に乗せられていました。……液体が染み込まず、体液がふき取りやすい、衛生を保ちやすい素材でできた台の上に。 頭上には、照明が見えます。 テレビドラマで出てくるような、小さな丸い照明をぐるりと円形に並べた明かりです。その光量は多く、私の体は強い蛍光灯にさらされて黄色い肌をさらしてい...
概要: 女って、綺麗なものに弱いですよね。 私だけじゃないですよね、きっと。 ルーランのサラッサラの銀髪とか、ツルッツルの肌とか、あの距離でもまったく毛穴の見えないお顔とか、その女性みたいなイケメンとか、長い睫毛とか――至近距離から思う存分堪能した私は、ころっと考えが変わって、抱き枕万歳! 抱き枕オッケー! どんとこい! になっておりました。 だってルーランって、い―匂いがするんですよ。 おまけにお顔も綺...
概要: ルーランの評価に内心落ち込みまくっていた私ですが、ちゃんと掃除はやりましたし、お料理の研究も続けておりました。 だって――やることないんですもんっ。 部屋で一人でめそめそしてたってお腹すきますしね。本もないし娯楽もないですし。 何より――私はそれを「お仕事」と思っていましたから。 ニッポンのOLは、たかだかヒドイ言葉を言われたぐらいでお仕事休んでられないのです。欠勤の連続は評価を落とす最大原因ですよ...
概要: 後日、私に悪いと思ったのでしょう。ルーランは沢山の種類の食料品を買ってきてくれました。あと、服も。「……うーん、機械織り……」 私は唸ります。 布地一つだけで、その織り方だけで、素人だって手織りかどうかぐらいわかります。織目がきちんとしてますもの。 綺麗なさらさらした布地……近い質感で言うと、絹でしょうか。 服飾は、まあ……買ってきたのがルーランです。 店員さんに「適当に見つくろってくれ」って言ったのが...
概要: 目が覚めた時、ルーランに謝られました。 ……怖いです。天変地異が起こりそうです。おっかないです。 何故か謝る側より謝られる側の方が体を縮めているという構図のなか、話が始まります。 顔をひきつらせながら話を聞いたところによると、 ・レイオス人と、地球人では、身体能力に圧倒的な差がある。 ・デコピンで額に裂傷、脳震盪だった。一歩間違えれば頭蓋骨亀裂でお陀仏だった。 とのことで……、ルーランは「知識として...
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