あかね雲
概要: リオン君の一人称。リオンから見たジョカです。 もしこの文を読んでいる方が時間を割いてくれるのならば、しばしの間、未熟だった私の思い出話に付き合っていただけるだろうか。 ジョカは、優しい人である。 私は断言する。 彼ほど優しく、公正で、他人に対し善意で接しようとする人を私は知らない。 ジョカには、独自のルールがある。 正確には、ジョカ自身も自分にそんなルールがあるということを明確に言語化して認...
概要: 「……うん。それ、私が作ったものだから持って来いって」 「ちょっと待って下さい……神器? つまり、魔剣は、神が作ったものであると?」 「……そう、みたい」 再び、一同は沈黙した。 「……一本が神器ってことは……」 「普通に考えて、残る魔剣もすべてそうだろうな……」 「と、いうことは、」 必然的に導き出される結論。 世界に、輪を描き、等間隔に散らばる十二の魔族の国。 まるで測ったように――そう、まさに、「測って」...
概要: あの少女―――クリス・エンブレードに連絡を取る。 通話に高魔力が必要なので普及はしていないが、瞬時に連絡を取る方法は存在する。 媒体は特殊な魔法のかかった鏡である。 大きさはさほどでもなく、手のひらほどの大きさだ。 同じ魔法のかかった鏡を双方でもち、魔力を注いで回路を開く事で、両者で会話ができるのである。 これは念話の魔法とは根本的に原理が違うもので、念話が頭の中で会話をするのに対して、これは...
概要: ぽっきりと折れた魔剣を前にしては、さすがの魔王も笑顔ではいられなかった。 この世に、たった十二本しかない魔剣は、魔族の至宝である。 銘を調べてみると、およそ百年ほど前に陥落した四の国から持ち出された剣だった。 巡り巡って、市場に出て、魔王の従者であったあの青年に買われたのだろう。……とんでもない値段であったことは、間違いない。 彼の治める国は、金銀が産出することから、鉱物の発掘、精製に長け、専...
概要: どれほどの強者でも、正確な情報を元に的確な対応をすれば、それを打倒することは不可能ではない。 それは、仇敵と言えるあの少女にも適用される法則のはずであった。 「……デニス南南東の市場、壊滅いたしました」 部下の報告に、彼はぴくりと眉を動かした。 「……またか。被害は?」 「鏖殺(おうさつ)されました。商品は全て解放され、人員は全員が殺害、もしくは捕縛された模様。定期連絡がなく、様子を見に行ったところ...
概要: ジョカは魔法使いである。 そして、リオンは、とある事を世界の誰より良く知っている人間だった。 曰く、 ――世界には、不思議な力が実在する。 ジョカという生き証人がいるのだ。これほど明瞭な証拠があるだろうか。 リオンはジョカの愛を独占していて、無制限に魔法の恩恵を享受している立場にある。 そんな彼にとって、世界には不思議な力があるのだという事は、乾いた大地に降りそそぐ水のように体と心に染みこん...
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