あかね雲
概要: 旅は順調に進んだ。 目的地の最寄りの街で隊商と別れ、後は道なき道をただ歩いた。 こういう時、ジョカがいるのは本当に助かる。 道も目印もない土地を、目的地に向けてまっすぐ直進できる人間がどれだけいることか。 かれは、世界中の地を廻った魔術師だ。この辺の地理もおぼろではあるが、見知っている。 また、昼は太陽の方向を見て計算し、夜になれば星を用い、自分たちの方向を間違いなく見極める事ができた。 ...
概要: ――が、魔王はびくともしなかった。 「知ってる。今更なんだ?」 「い、いまさらって、そりゃ……」 「お前が、俺を好きでないと言い、それを通せるだけの力を持っているから、俺は真面目に口説いているんだろうが。今更なんだ?」 魔王から見れば、本当にいまさらである。 面倒な女に惚れたもんだと思いつつも、せっせせっせと口説いている最中に、その当の女が宣言したところで……そんなもの双方了解していただろうというもの...
概要: その日の晩、寝台の上で、少女は考えこんでいた。となりにはとぐろを巻いたコリュウがいて、大人しくしている。 「うーんんんん……」 別に一週間以上トイレで出るものが出ないで困っているのではない、念の為。 「よし、決めたっ」 色々考えた結果、行動力は無駄にある少女はすっくと立ち上がって部屋を出ていった。 無駄かもしれないが、コリュウもむくりと起き上がり、その後ろをぱたぱたと付いていく。 少女が向かった...
概要: 少女は、今日は事前に「魔王に教わりたい」と仲間に理を入れた上で、魔王に頭を下げた。 「今日も、教えてください」 それを見やる魔王はやや意外そうだ。 「授業料は、わかってるんだろうな?」 「うん……はい。キスでいいならいくらでも支払うから、教えてください」 神妙に、少女は頼んだ。 彼女も、考えたのである。 今回の依頼が終わった後に、忙しいなか時間を何とか捻出して誰かに教わるという方法もあるが、見知...
概要: 浴室から出た少女を待っていたのは、かつてないほど真剣に怒っている仲間たちだった。 「ごめんなさーい! もう二度とやらないからー!」 「当たり前だ!」 「当たり前です!」 「うー、コリュウ~~~っ!」 抱きつこうとしたが、すっとかわされる。 あれ。という顔になった少女に、飛竜の子どもは言った。 「……クリス。今回は僕も怒ってるからね! 魔王が結界ほどいて出てくるまで、ずーーっと待っていたんだからね!」 ...
概要: 少しエロあり。 治療師の仕事で忙しいジョカに代わって、リオンはてきぱきと旅支度をした。 さいわい、というか彼らは戸籍を持たない流浪民であったので、この土地に縛られていない。農民であったら自由に移動する自由がないが、彼らにはその縛りがない。その分、よそ者として警戒と排斥の対象ではあるが。 だから自由に旅もできる。 翻って言えば、この時代の農民は自由に旅行などできない身の上なのだ。 この国がひどい...
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