fc2ブログ
 

あかね雲

2015年12月の更新履歴 [前月]  [次月]

2015/12/06
勇者が魔王に負けまして。] 4-27 深刻な問題 2
2015/12/06
勇者が魔王に負けまして。] 4-26 深刻な問題 1
2015/12/06
勇者が魔王に負けまして。] 4-25 襲撃には慣れっこです
2015/12/06
勇者が魔王に負けまして。] 4-24 経過観察
2015/12/06
勇者が魔王に負けまして。] 4-23 結婚式から一か月 2
2015/12/06
勇者が魔王に負けまして。] 4-22 結婚式から一か月
2015/12/06
勇者が魔王に負けまして。] 4-21 新婚一週間目の喧嘩
2015/12/06
勇者が魔王に負けまして。] 4-20 お籠もり
2015/12/06
勇者が魔王に負けまして。] 4-19 初夜
2015/12/06
勇者が魔王に負けまして。] 4-18 王妃の振る舞い
BACK|全2頁|NEXT

勇者が魔王に負けまして。] 4-27 深刻な問題 2

 概要: 「えいっ!」  クリスは声を上げると、背筋に力を入れてしゃっきりさせる。 「――ありがとね。愚痴きいてくれて、すっきりした」  そう、まだ嫁いで半年だ。  絶望するには早すぎる。  愚痴は、言うだけで気持ちが楽になる。  聞いてくれる人がいて、その人が旦那さんということは、かなりの幸せだ。  手元にある幸せに気づけない愚か者にはなりたくなかった。  ――と、クリスはこの憂鬱に一つ区切りをつけたのだが、魔王の方...

勇者が魔王に負けまして。] 4-26 深刻な問題 1

 概要: ※不妊に関する非常に無神経な表現が多々あります。ホントーにすみません。でも、この世界ではこれが避けては通れない現実なので、あえて書かせていただきました。 悩んでいる方にとって、ひとかたならず不愉快だろうと思います……すみません。  その日、クリスは執務室でへたばっていた。  書類を左右にどけ、スペースを確保し、机に突っ伏していた。 「……疲れたのか?」  滅多に見ない姿に、気遣わしげな声をかけたのは、彼女の...

勇者が魔王に負けまして。] 4-25 襲撃には慣れっこです

 概要:  魔王の「お召し」は、毎夜のことなので、すでに通例は逆転している。呼ばれたら行くのではなく、何か褥を共にできない事情があったら、連絡が来る(もしくは連絡する)のだ。  その日も朝方早く、部屋の戸をあけると、仮眠をとっていたらしいカルミアが目を覚まして駆け寄った。  彼女は前回妃だった頃から変わらず侍女をしてくれる。純魔族なので、素直に好意を寄せてくれるので世話されていて心地良い。――自分に敵意を持って...

勇者が魔王に負けまして。] 4-24 経過観察

 概要: 「――お前の意見を聞きたい」  魔王に呼び出されての質問に、フィアルは苦笑した。 「奥方様が、大陸有数の都市を造られたという話は聞いておりましたが……得心いたしました」  正直言って、戦うしか能がないと思っていた。勇者らしく、弱者に甘く、理想を追ってばかりの理想主義者だと。  とんでもなかった。  力が無ければ助けたい思いがあっても何もできない。彼女は、それを、よく知っている人間だった。  そして――彼女は思...

勇者が魔王に負けまして。] 4-23 結婚式から一か月 2

 概要: 「……なにかやられたのか?」 「んー、先日ね、毒を盛られたんだけど」  彼女は気にしていない。  魔族の王に、人族(かちく)の女が嫁いで正妃になる。それに、反発がないはずがないのだ。 だが、魔王は驚いた。 「なっ!」 「あ、私、暗殺され慣れてて、毒物全般見分けることできるから。へいきへいき」 「っておい! どうして俺に言わない!」  クリスは憤りをあらわにする魔王を見て、一瞬あっけに取られ、ぽんと手を打つ...

勇者が魔王に負けまして。] 4-22 結婚式から一か月

 概要:  カリカリカリカリ。  与えられた一室で政務に励んでいると、訪問者の訪れを感じて、クリスは顔を上げた。 「少し根を詰めすぎるんじゃないか?」 「あのねえ……誰のせいだと思っているのよ!」  クリスは腰に手を当てて張本人に文句を言った。  部屋の隅で眠っていたコリュウが首をもたげ、またかーと言いたげな眼差しを魔王夫妻に送った。  結婚してから一カ月。  魔王の仕事っぷりは、予想以上にひどかった。  ほとんどフ...

勇者が魔王に負けまして。] 4-21 新婚一週間目の喧嘩

 概要: 結婚式から一週間目のふたりです。また、生理について少々描写があります。苦手な方はご注意ください。 長い黒髪の女の頭を、左側を下にした状態で枕に押し付けて抵抗を封じる。  髪をかき上げれば普段隠れたままの耳と、うなじが出てくる。  女のほつれ毛のかかるうなじにそそられるのは、男の本能だろうか。  何度も口づけ、赤い斑点を散らしながら下へと下りていく。 「や……あ…あ…っ」  艶やかな女の声に、くらりと来るも...

勇者が魔王に負けまして。] 4-20 お籠もり

 概要:  翌朝、ぱっちりとクリスは目を覚ました。間髪いれずにノックの音が響く。 「魔王さま、王妃さま、朝食をお持ちいたしました」  五人ほどが並べて眠れる大きな寝台の中で、彼女はその声を聞いた。  戦士の心得で、意識は一瞬で覚醒している。自分の体を見下ろして真っ赤になり、毛布を巻いて体を覆った。  寝台には天蓋がついているので、見られることはないだろう――どうして貴人の寝台に天幕がついているのか、よく理解した。...

勇者が魔王に負けまして。] 4-19 初夜

 概要:  寝室では、魔王が待っていた。  魔王の前に立ち、少女は深く体を折った。  教わった通りに、口にする。 「これから、よろしくお願いいたします。いくひさしく、魔王さまにお仕えする所存です。末永く寵愛を頂けますよう――」 「おい」  少女は顔を上げた。困った顔で頬をかく。 「……ええと、こう言えって言われたんだけど」  妻は夫に仕えるもの。それは人族の常識であるが、魔族は違う。魔族は基本的に男女平等だ。  だが、...

勇者が魔王に負けまして。] 4-18 王妃の振る舞い

 概要:  式が終わったあと、戻った部屋には三人の女性がいた。 「これから私共が王妃さまにお仕えいたします」  控えている三名の女性たちは、全員が顔見知りだった。  全員が魔族。  少し、緊張した面持ち。  最初が肝心。  クリスはゆったりと微笑んでいう。 「そう緊張しないでもいいわ」  威圧を含んだ微笑は、冒険者稼業でおぼえた。どこの世界であれ、「舐められたら負け」は、真理だ。  ――気さくに接するのは正解ではない...
BACK|全2頁|NEXT