16 実験の再現? できませんよー!
「どうやったら、お前に術を使わせることができるか? うむ、やはり魔力がないのと技術がないのが問題だな」
初実験での初成功に、ルーランは上機嫌です。
ほんの小指の先ほどの火ですが、私にも魔法が使えたのです。
それは偉大な一歩といっていいでしょう……が。
「ルーラン……」
その後半日ほども寝込んだ私は、情けない声で嘆願しました。
「お願いですからやめてくださいい……」
何でも、魔法を使うには、
魔力。
と、
魔力を編み物のように編む技術。
の二つが必要だそうです。
魔力だけがあっても、術は編めません。それを上手に編んで、初めて現世に事象として発現するのだとか。
そして私には両方ありませんから……、前者は私の全身の全魔力、これまでの人生でずっと使われることなく蓄えてきた全魔力を使い、後者は私を操ってルーランが代理で編むことで術が発動しました。
けれど、その結果私は半病人でした。うっうっうっ。
全身の倦怠感がひどく、立ち上がることもできません。……トイレには床を這いずってなんとか行きましたけどね!
ルーランはこの星にもある寝た切り病人用のトイレ(つまりおまる)を差し出しましたが、プライドにかけてっ! 断固拒否しました。
そして二度目三度目とトライしたのですが、悲しいことに最初の一度目しか成功しませんでした。
……ぶっ倒れはしましたけどね!
「どうやら、最初の一回で蓄積していた微弱な魔力をすべて使い果たしたようだな……」
と論評したのはルーランです。
魔力のない地球人の私ですが、計測できない程度の微弱な微弱な魔力はあり、更にそれが二十二年間一度も使われずに貯まっていて、それが使用された結果、最初の一回目は成功したのではと、まあそういうことでした。
そして今、ルーランはそんな私でも術が使えるようになるよう、研究をしているのですが……。
……アレ?
実験台から逃げてきたはずなのに、わたし、どこから見ても立派な実験台になってませんか?
がんばれ、サナエちゃん! 君のターンはこれからだ!
ちなみに彼女が魔法を使えるのは、これが人生で最初で最後だったりします。
最初で最後の魔法がマッチ……。
地球人は魔力がないので魔法は無理と思って下さいませ。
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