30 『下女兼抱き枕』に進化したみたいです
女って、綺麗なものに弱いですよね。
私だけじゃないですよね、きっと。
ルーランのサラッサラの銀髪とか、ツルッツルの肌とか、あの距離でもまったく毛穴の見えないお顔とか、その女性みたいなイケメンとか、長い睫毛とか――至近距離から思う存分堪能した私は、ころっと考えが変わって、抱き枕万歳! 抱き枕オッケー! どんとこい! になっておりました。
だってルーランって、い―匂いがするんですよ。
おまけにお顔も綺麗で、しかも襲われる危険も全くなくて。
しかも……やっぱり私、突然異世界に落ちて、心細くなっていたんでしょうね。
ルーランに抱き枕にされて抱きしめられて人肌を感じて、こっそり涙が出ました。あったかくて、気持ち良かったです。
きっと、ルーランもこのあったかさを求めて私を抱き枕にしたのでしょう。
そして、嫌いな人間を抱き枕になんてしませんから……、ルーランの方も、私に多少の好意は持ってくれていると思っていいんじゃないでしょうか。
いい関係が築けていると……思っていい、ですよね。
熟睡されちゃうぐらい、恋愛からは程遠いにしても。
……お父さん。
お母さん。
――とりあえず、私は異世界で保護者の人(ちょっと意地悪だけど優しい)を手に入れて、その人は私に良くしてくれています。現在の職は『下女兼抱き枕』です。
突然失踪し、今頃私が犯罪に巻き込まれたのではないかと必死に探しまわっているだろうお母さんたち、心配掛けてごめんなさい(私、二十代の女ですし)。
――とりあえず、今のところ、私は元気でやっています。
ルーランが更に少しデレました。
ルーランの現在の認識=抱き枕にはちょうどかも。
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