あかね雲

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□ 黄金の王子と闇の悪魔 番外編短編集 □

※旅の終わり

あけましておめでとうございます。



「やっと……着いた……」
 長い長い旅路が終わり、やっとふたりで暮らす家まで戻ったとき、リオンもジョカも、しばらくどっとぶり返した疲労感と、心に満ちる安堵で何も言えなかった。

 荷物を置くと二人で椅子に座り、しばしの間、戻ってきたという実感にひたる。

 家の作りで言えば十倍くらいはインホウの家の方がりっぱだ。
 それでも、彼らが戻ってきてほっとできる場所は、ここ、なのだった。

 帰ってくる途中、盗賊が出た。リオンは客であり非戦闘員として勘定されてはいたが、ジョカの目の前まで盗賊が来たとあらば殺し合いに参加しないわけにもいかず、剣をとって戦った。
 さいわい相手は大したことのない腕前で、しかも護衛をかいくぐって客員の前まで来れたのは一人きりだった。体格的にも技量的にもリオンの方が上で、おまけにリオンは場慣れしている。

 賊に襲われるのはこれが初めてではなく、殺し合いの経験も積んでいた。リオンは、ジョカの護衛としてここまで来たのだ。
 相手はリオンの体格や手の剣、戦闘にも怯えていない様子を見て自分の不利を悟って逃げようとしたが、リオンは容赦なくその背に一太刀あびせた。

 一対一だからこそ相手は逃げようとしたのであって、逃がせば仲間を引き連れてまたすぐに来るだろう。その時勝てるかどうか。
 また、この男を逃がせば今もまだ戦いのつづく他の仲間に助力するだろう。勝てる勝いも、この男が加わったとたんに形勢は不利になる。もしそれで護衛の人間が死んだら、リオンの間接的な殺人である。

 殺せる時に殺せ。
 それが、リオンの学んだ山賊対処だ。

 ジョカは何も言わず、黙ってリオンのその様子を見ていた。
 自分の愛する人が自分のために人を殺すところを。

 なんとか盗賊を追い払い、人員を確認するが隊商で死んだ人々はいなかった。生き残った人々は自らの無事を祝い合い、傷の手当てをジョカが買って出た。

 リオンは話す暇もなくてきぱきと怪我人の手当てをこなすジョカを見て、不安にかられたものだ。
 ジョカの目の前でリオンは人を殺した。二人きりになったとき、それを怯えられたらどうしよう……と。

 けれどももちろん、自身もこれまで無数の人間を手にかけてきた魔術師は、リオンを責める様子など微塵もみせなかった。
 多くの人の手当てをして疲れただろう魔術師はぽんとリオンの頭を撫でてこう言った。
「守ってくれて、ありがとう」

 その後も特に変わった様子を見せることもなく、リオンは内心そっと胸を撫で下ろした。
 後で考えてみれば愚かな心配というしかないのだが、やはり人を殺して神経が高ぶっていたのだろう。ジョカにどう思われるのか、無性に不安を駆り立てたのだ。

 人殺しが絶対悪でもなく、人の命の価値に軽重がある世の中である。人の命は軽く、盗賊の命は空気より軽い。そういう世の中であった。

 なお、盗賊の死体は街道から少し離れたところに野ざらしである。
 死体は疫病と悪臭を撒き散らすが、盗賊に穴を掘って埋めるほどの手間をかけることを皆嫌がったのだ。
 人一人が入るほどの穴を掘るのは、相当な労力がかかる。それが死体の数だけかかるのだ。盗賊のためにそんな手間をかけるのは誰でも嫌だろう。
 よってこういう場合、死体は街道から少し離れたところに放り出されるのが常だった。
 後の処理は獣におまかせである。

 一度盗賊に襲われたほかはさいわい旅は順調に進んだ。
 それでもずっと歩きとおしの旅を続けてきたのだ。蓄積された疲労は、緊張が切れたと同時に実体をもったかのように襲ってきた。

 リオンは疲労感が両肩にのしかかっているのを感じる。
 到底これから食材を仕入れ、料理できない。
「ごめん、ジョカ。屋台で買ってくるから、今日の食事はそれにしよう……」
「わかった」

 ふたりで黙って食卓で買ってきた料理(炒め飯)をつついていると、ジョカが言った。
「なんか、こう……帰ってきたって感じがするな」
 リオンは目を見張る。
 まさに、彼が今考えていたことそのままだったからだ。

 インホウの家でも、隊商でも、食事は常に他人と一緒だった。
 大勢でわいわいやる食事も嫌いではないが、ジョカと二人きりの空間で食べる食事は何にも代えがたい。

 リオンは微笑んでうなずく。
「そうだな」

 食事が終わると、ジョカがリオンの手を取り口づけた。
 手の甲に触れる少し湿った唇の感触。それが移動し、指と指の間の皮膚の薄い部分で止まり、ちりっと刺激する。

 顔を手にうずめたまま、ジョカは目だけを上げてリオンを見た。

 リオンは微笑んで承諾する。
「ああ。私も、そうしたい」


     ◆ ◆ ◆


 旅をしている間、精を吐き出すだけで翌日の事を考えて体を繋げることはしなかった。

 そのことに不満はないが、物足りなさを感じていたのも確かだ。
 だからジョカがその部分に触れてきたときも、リオンは抗わずに受け入れた。

 二人の寝台の枕元には、潤滑油が常備してある。
 香り付きのものは頭が痛くなったので、香料の含まれていない純然たる油だ。
 その油を手のひらで温め、ジョカはリオンの蕾に指を入れた。
「ん……」

 油でぬめった指を二本入れられ、中で開かれる。
 そうしてできた隙間に更に油が注がれた。
 指が前後に行き来し、その度に中で油がぷつぷつと空気と触れ合って音を立てるのがわかる。

 リオンは身をよじった。
 数えるのが馬鹿らしいほどリオンを抱いてきたジョカの手は的確で、リオンの雄が立ち上がってきたのだ。
「ん……なか、刺激されると……っ、出ちゃう、から早く」
「わかった」
 返答は短かった。

 既に立ち上がっている逸物にも油を塗ると、ジョカはリオンと目を合わせ、深く唇を重ねた。
 唇が離れると、吐息を感じる近さでジョカは囁く。
「からだ、そのままでいいか……?」
「このまま……いや、待ってくれ」
 リオンは自分の体の調子を考え、負担の少ない方がいいと体をねじった。

 男同士の性行為はどうしたって受け身側の方が負担が大きい。
 リオンが獣の体位になって後ろを向けると、ジョカは尻をつかんで左右に開いた。隠すことなくさらされた蕾は白い肌の中央で紅色に色づいた花のようだった。
 ジョカは密かに生唾をのむと、無言で張りつめた性器を挿入した。

「あ…ん……」
 リオンは熱量が侵入し、指では届かない奥の部分が割り開かれていく感触にあえかな息を洩らす。

 押し入ってきたものは指とは比べ物にならないほど太く、その興奮を反映して固い。
 ジョカは根元まで入れると、すぐに動き出した。
 切羽詰まった欲情を我慢しきれないという動き。

 それが無性に嬉しい。自分が愛しい人の劣情を駆り立てていて、その対象であることが嬉しい。
「あっ、あっ、あっ、いっ、んっ……!」
 奥を突かれるたび、リオンの口から声が上がり、太腿の肌と肌がぶつかる音が響く。
「ジョカ……」
「リオン、愛している……」
 耳元でささやかれる声は、彼の情熱に刺し貫かれてゆすぶられている今、直接的に心に響いた。

 その言葉に、一片の嘘もない事を無条件で信じられる。
 閨の睦言など偽りだらけだけど、ジョカは自分が好きで、自分を欲しいと思うからこそこうして抱いているのだと、素直に確信できる。

「リオン……リオン……く…っ」
 ちいさく声をもらし、ジョカがリオンの中に熱いものを吐き出す。
「あ……ああ……っ」
 奥に熱い飛沫がかけられて、リオンは体を震わせた。
 この瞬間が、リオンはたまらなく好きだ。
 一気に高みにまで引き上げられ、リオンも射精する。

 吐精を終えてぐったりした体をねじってジョカを見た。
「ジョカ? 抜いてくれ……」
 言いかけてぎょっとした。――ナカで、大きくなっているものは。

「わるい。もう一回」
「ちょ……疲れているんだから……ああっ!」
「一回だけだから、な?」
「あなたはいつもそう言って……んっ」

 もともとあってなかったような抵抗はなし崩しに流され、ジョカは珍しく今回は約束を守って一回だけで終わったのだった。


 終わった後、リオンはジョカをじろりと睨んだが、いつものことでありリオンの方も本気で怒っているわけではない。
 睨むリオンの顔にジョカは顔を寄せ、ぺろりと頬を舐めた。

「……あなたは猫になったのか?」
 リオンがそう言ったのは、更に首すじ、肩とどんどん舐めていっているせいだ。
「そうかも?」
「いや、汚いからやめてくれ」
 リオンはジョカの額に手を置いて押し戻す。

 旅の埃を満足に落とす前に寝台にもつれこんでしまったので、汗とか埃とか体液とかでよろしくない。
「舐めたいのなら風呂上がりにしてくれ」
「え? 風呂上がりならいいのか?」
「ん? もちろんいいに決まっているだろう」
 お互い体中を唇と舌で愛撫した仲だ。いまさら舐められること自体に抵抗はまるでない。

 ジョカはにっこりと笑った。
「ならそうする」




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Date:2016/01/01
Comment:2

Comment

* 誤字

あけましておめでとうございます。本年も楽しみにしています。あの、一ヵ所リオンの名前が「シオン」になっているのですが…。
2016/01/03 【夢見@10kyugi】 URL #- 

* Re: 誤字

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
すみません、赤っ恥もののミスでお恥ずかしい……。
直しました。また見つけたら教えて下さい。
2016/01/04 【杉浦】 URL #- 

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