スポーツを見る醍醐味は興奮だ。
どこで耳にしたのか目にしたのか覚えていない一文ですが、これってほんとだな~としみじみ思っている杉浦ですこんにちは。
そういう私ですが、生まれて長いことスポーツ観戦と「興奮」は縁遠いものでした。
スポーツを見て興奮したことって、特になかったんです。はい。
テレビをつければ何かしらスポーツやっているご時世ですが、サッカー見ても、野球を見ても、「興奮するかなあ」、というのが関の山。
箱根駅伝も、毎年何となく見はするんですが、興奮するかと言われると、「えーと」という状態だったのです。
なので、「スポーツを見る醍醐味は興奮」という一文についても実感などさっぱりなく、記憶の奥底に放り込んでいたのですが……。
はい、わかりました。
スポーツを見て興奮する人の気持ち。
わくわくドキドキハラハラしながら画面にくぎ付けになる気持ちが、よおっく、わかりました。
2011年、川内選手が福岡国際マラソンを走ったレースにおいてのことです。
それは凄いレースだったのです。
このレースを、生中継で見れたことを天に感謝しましたね。
ああ、ほんとうに「スポーツを見る醍醐味は興奮」だ! と実感しました。
こんなにマラソンって面白いものなんだ、
こんなに興奮してこんなにどきどきわくわくするものなんだ、
と、生まれて初めての興奮に一気にマラソンファンになりました。もちろん川内選手ファンです。
しかもスポーツはドラマとはちがい、一切の筋書きのない、嘘のない、誰にもこの後の展開が読めないドラマです。
無名の1ランナーが一躍脚光を浴びることもあれば、優勝確実と見られていたランナーが落ちていくこともよくある。
今回感想を書くのは「常識破りの川内優輝マラソンメソッド 津田誠一:著」です。
この本は、私にスポーツ観戦の面白さを教えてくれた川内選手……の、選手としての「育ての父」である津田誠一監督が書かれたものです。
この本については川内選手の知名度に乗っかった本だという見方もとうぜんありますが、私はこの方には川内選手を選手として育ててくれた(ひいては間接的に私にスポーツの面白さを教えてくれた)恩人だという意識があるので、これくらいはいいんじゃないかな、と思っています。
マラソン雑誌ではよく川内選手のインタビュー記事とか載っていて、いっぱしの川内ファンを自認している私はかなりのところ目を通していますが、川内選手はその中で何度も何度もこの監督への感謝を述べているんですよねー。
なので、一度も会ったことも見たこともありませんが、私の中で津田監督の好感度は高いのです。
実際、客観的に記録を見ても、川内選手は津田監督のところで急成長して、箱根駅伝に出られるレベルになったんですしね。
箱根駅伝に出るレベルの大学にも入れなかった川内選手が、いかにして世界レベルにまで成長したか。
この本はそんな川内メソッドについて詳しく書かれています。
読んでみたらかなり面白かったです。
その中で強く頷いたのが、
「厳しい練習を課したら故障者が続出する。厳しい練習をしても故障しなかった生き残りだけでチーム編成するのは誰でもできる、監督に大事なのは故障させることなく選手の能力を引き出す事」
というところ。
幸か不幸か、学習院大学という弱小もいいところの陸上部では、厳しい練習させて生き残った選手だけでチーム編成なんてそんな方法とれません。
だって故障者が少しでも出たら、それで「本番」に出られないんですから。
ちなみに学習院大学でいう所の本番とは、箱根駅伝予選会のことです。
学習院大学の陸上部では、箱根駅伝の予選会に出ることさえたいへんなんですね。(予選会に出るためには、基準タイムを切れる選手を10人そろえないといけません)
だから一年通じて、それに出られるよう、また故障者が出ないよう計画的に練習スケジュールを組むんです。
そういう津田監督から見れば、故障者続出の厳しい練習は論外になるわけです。
……ふふふ、市民ランナーのなかでも底辺に近い私にはあんまり関係ないですけどね……。
生きているうちに、なんとかハーフマラソンに出られるようになりたいものです。
そんな津田監督が川内選手入学時にした約束がこちら。
「オレと四年間頑張ろう。これから四年間いっさい故障をさせない」
その言葉通りに川内選手はそれから四年間故障せず、記録をぐんぐんのばし、とうとう箱根駅伝のランナーになりました。
そういう川内選手のエピソードがてんこもりのこの一冊。
需要としても川内選手のファンばっかりがこの本を買うでしょうし、ニーズにきちんと応えた本づくりをしているので、川内ファンとしても楽しめました。
もちろん市民ランナーとしてマラソン挑戦しようとしている人にも、詳しく書かれた練習法は参考になるでしょう。
私? 聞かないでください。
しかし気になったのが文中に「実は川内には在学中に実業団からの誘いがあったけど断った」とあるのですが……、川内選手はそれを知っていたのでしょうか? 本人が知っていて本人が断ったのならいいんですが、まさか監督が勝手に…………いや、考えるまい。
現在の川内選手の活躍ぶりを思えば、今の選択が正解ですよね。うん。……うん。
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