ネタバレ注意! ワールドトリガーの感想です。 現在
ジャンプ+というジャンプの公式サイトにて、ワールドトリガー1~4巻まで無料公開中!
11/2までなので、まだ読んだことのない方はどうか読んでみて下さい。
<あらすじ> 衝撃の新事実がつぎつぎと明らかに。
かつて玉狛支部がボーダー本部だったこと、城戸さんは朗らかだったこと、かつての戦いで仲間が19人中10人死亡したこと……。
その戦いののち、城戸はネイバー殺す主義に転換し、地球とネイバーの橋渡しというボーダー設立当初の理想は、玉狛支部にのみ残ることになった。
そしてユーマはカゲの家に遊びへ、千佳は合同訓練へ。
<感想> 重い。 めっちゃ重いです。
なんだ、このファンシーな絵柄の皮をかぶった重いお話は!
――いや最初っからワールドトリガーってそういう話でしたね。
この写真にうつる19人の行先は、
10人(死亡)
3人(本部へ移動。城戸、忍田、桐山)
5人(玉狛残留の小南、迅、レイジ、林藤支部長、ゆり)
1人(ボーダー離脱。真都)。
かーっ、こうして書き出してみると、過半数死亡ってキツイですわ。
迅の予知で、ブラックトリガーを作らなかったらもっと死ぬ、とか言われて黒トリになったんだろうなーとか、迅が何度かパワーアップはできるときにすべきって言っていたのはこの苦い経験があったからだろうなとか考えると、重いです。
あと、読み返してなるほどねと思うところが各所で見つかったのは収穫。
特に黒鳥争奪戦後の交渉の時とかで忍田さんに微妙な表情が垣間見えるんですわ。
あれは、いわば出来レースを見守る同僚の顔?
城戸さんの強硬姿勢が忍田さんから見てポーズだと分かっていたからこそかな、と。
・迅主人公編があるとしたら、過去編? 四人いる主人公のひとり、と作者に明言されつつ、作中でも重要フラグ軒並み立てまくりのフラグマンのくせして活躍の場が少ない迅。
黒鳥争奪戦後は特に出番が少ないです。
修がボーダーに入ったのも、ユーマがボーダーに入ったのも、ひいては千佳がボーダーに入ったのも迅のせいってかおかげなんですが、重要な出来事のフラグは立てまくるわりに最近出番がめっきりない迅。
迅主人公編があるとしたら過去編になるのかな?と今回の話を読んでちょっと思いました。
古寺そっくりのメガネくんとか、ダブルピースしている前列の女の子とか、あくびしている子とか、みんなみんな死んじゃって……たぶん猫先生のことだから全員の名前も設定もきちんとあるでしょう。
彼らが一人また一人と激戦の中で散っていき、ある者は黒トリガーになることを決意して黒トリガーとなり、ある者は黒トリガーになろうとするも黒トリガーになれず(黒トリガー生成失敗)に死んでいく。
そして生き残った仲間は、一人は戦場から離脱することを選び、一人はもう二度と仲間を死なせないために仲間をより多く集めると決意し、そして残りはその道に賛成できずに主義をたがえた……。
――こういう暗い話、ジャンプでアンケートが取れるかどうか難しいですが、私はすごく読みたいデス。
過去編書いてくれないかなー。
・ユーマがカゲの家に訪問 仲良くなっててとても嬉しいw
ユーマとカゲが仲良くしている姿って和むなあ。
そして、カゲの家のご飯って言えばやっぱりお好み焼ですよね。
初めて食べるお好み焼に嬉々として食らいつくユーマの姿が目に浮かぶと同時に、お好み焼を初めて見た外国人の定番反応をユーマがするんでないのかと心配です。
つまり、
「なにこれ? ゲロ?」
という。
で、それに対してカゲは一旦怒りかけるけど、感情がわかるSE持ちなのでユーマが本気で知らないってことはすぐにわかるでしょう。
「ケンカ売ってんのかテメエ! ……ってそんな感じじゃねーな。何だ、ほんとに知らねえのか?」
「うん。初めて見た」
「お好み焼も知らないのかよ! お前どこのイナカモンだ!」
「おれ? すごくニホンジンです」
「嘘ついてんな! ってことはおまえ日本人じゃねえのか。そういや髪も白いしな。どこの国出身だ?」
「あ、やべ、かげうら先輩にはわかるんだ。かげうら先輩ならいいかな。俺はネイバーだよ」
と、さらっとカミングアウトするユーマの姿を想像してます。初カミングアウト。
これは勝手な想像ですが、実際本気でこういう展開になったら誤魔化すの無理じゃないですか?
感情がわかるカゲに「ニホンジンだよ」じゃ通用しないでしょうし……。
あれ? カゲも嘘見抜けるサトリ仲間?
ボーダーはサトリ多いな!
ユーマ(確定)。菊地原(確定)。そしてカゲ(推定)。
……てか、旧ボーダーの写真の故人の中にカゲによく似た人間がいるんですが……。
前列の左から三番目。ヤンキー座りしている子です。
これ、まさかカゲの兄貴?
BBFで兄貴いるってあったし……家に遊びに行ってその話が出たりしないかしらん?
ユーマがカミングアウトしてカゲが兄の死にともなう個人的事情でネイバーに拒絶反応を示して……とかいう展開になったらおもしろいなー。
ユーマはところどころでシビアな意見を言ってますが、(俺はネイバーだから、正規の手段でB級に上がらないといけないなど)一番最初に会ったボーダーが偏見ゼロの稀有なオサムであったということもあって、「ネイバーということが判明したとたんに親しい人に手のひらを返される」経験はいまだないのです。(ユーマって自分でも言ってますが超ラッキーですよね)
初めてそういう経験をして愕然とするユーマとか、それを慰める栞ちゃんもしくは千佳ちゃんとか、見てみたいかも。
・迅は、いつから仲間の死を見てきたのか? 一巻からぜんぶ読み返してみましたが、迅の「大丈夫だ、未来はもう動き始めている」って言葉がひときわ重いです。
迅は、この先の未来にボーダー壊滅が見えていて、それを何とかしようとああもオサムに肩入れしてくれたんでしょうか?
なーんかあの台詞が最初に読んだ時は「なにこれ?」だったんですが、どんどんそういう意味にしか思えなくなってきました……。
そして読み返して気づいたんですが、ボーダー幹部の中でタヌキさんだけが迅の予知を「予測」と言っているんですよね。
予知と予測。
似た意味の言葉ですが、予知が「超能力」であるのに対して、「予測」は人間なら誰でもしているもの、というニュアンスがあります。
理系のエンジニアらしく、キヌタさんは迅の予知を神のごとき能力として盲目的に信じるのではなく、あくまで予測の延長線上にある能力だと思っているのではないでしょうか。
うん、正しい。科学者としてじつに正しい姿勢です。
予知に頼りきりだと外れた時に怖いですし、いつかは必ず予知がなくなる日が来るのです。
迅は不死身じゃないので、百年もすれば必ず死ぬのですから。
てか、死亡フラグが立ちすぎてこわい……猫先生、どうか迅を殺さないでください。
・仲間を増やすために「ネイバー許さない派」になった城戸さん 昔は闊達に笑って、ネイバーとも仲良くやろうぜ主義だった城戸さん。
仲間を増やすためにネイバー許さない派を作った、っていうところに今週はいちばん考えさせられました。
思い出してしまったのが、911後の新聞の社説で読んだ、「アメリカ国内でハト派が一気に力を失い、タカ派が主流になった」という一節です。
911後、つまり敵の攻撃によって大被害が出たあと、人の支持を集めたのは「復讐」でした。
「あっちの国にもいい人はいるはず、仲良くしよう」ではなく。
これはアメリカだからではなく、人情として、人間心理として、自然な流れだと思います。
玉狛支部の人たちだってネイバーをひとくくりにして憎んだりしなかったのは、一緒に戦った同盟国の人たちの存在がいたおかげでしょう。
ひとりひとりを知っているから、ひとくくりにして憎むことはなかった。
実際に身近に接していなかったら三輪のようになるのが自然で、そして人を集めるためにもそっちの方がいいんだろうなあ、と。
第一次侵攻後、ボーダーは表舞台に躍り出ます。
そのとき、人を集めるのに「ネイバーは敵! 許さない! 一緒に戦おう!」と訴えるのと、「侵略してくるネイバーは敵! でもネイバーにはいいやつもいるからそっちとは仲良くするよ」と訴えるのとどっちがいいかって言われれば、そりゃあコンセプトが明瞭で明確な前者の方がいいです。
キャッチフレーズが明瞭でブレていないので、わかりやすい。
でもさ、それって悲しすぎない?
でもなあ、アフト戦を見てもわかるけど「数は力」が現実で、その数を集めるために城戸司令の打ち出した方針は間違ってないんだよなあ、と。
そういうことを考えると、最終的にゆりさんの言っていた言葉に戻ってきちゃうわけです。
「問題は、城戸さんより正しい方法を思いつけない私たちにある」と。
……重い、重いです。このセリフ……。
そうなんだよなあ。
人数を集めるために、じゃあもっといい方法はあるのかっていうと……思いつきません。
いや、人数集めるだけならあるけどね!
――国を巻き込むことです。
ぶっちゃけ、自衛隊が今何人いると思います?
24万人です。
1000人にも満たないボーダーとは比べることもおこがましい規模です。
自衛隊のうち、トリオン能力の高い人間だけでもボーダーに出向してくれば、ボーダーはあっという間に一万人を超える大組織になるでしょう。
それに本質的な事を言えば、民間組織が侵略者に対抗しているのがそもそもおかしい。それは国がやるべき責務のはずです。
が……。
「国」を巻き込んだら最後、人類同士のトリオン技術の取り合い戦争が勃発する予感マックス。
あと、そうなったら主導権は国にとられるでしょう。なんせ構成員の99%以上が自衛隊になるんですから、城戸さんはお飾りのトップか、あるいはトップの座から蹴落とされるかのどっちかになります。
そして、規模が大きくなるとスパイの入り込む隙も出てくるわけで。
何より「国」の技術になった後、同盟国からの「技術供与しろ」という要求に逆らえる気がまるでしません。
いや、国に技術が奪われるのならまだしも、テロ組織に技術が渡ったら……?
どうしましょう、ネイバーに襲われるより遥かに大量の人命が人類同士の戦争で失われる気がしてきました。
911の後、911で死んだ何倍もの人命がテロとの戦争で死んでいったように。
国を巻き込むのはある意味正道で、手っ取り早いんですが、最終的に失われる人命は今のままよりずっと多くなる。
迅も城戸さんもそう思ったからこそ、今のやり方(あくまで民間組織として戦う)を貫いているんでしょう。
じゃあ民間組織のままで城戸さんより人数を集める方法は、というと思いつきません。
ほんとに色々考えさせられる作品です。ワールドトリガー。
今週もたしかなまんぞく。
来週の掲載と葦原先生の首の快癒をお祈り申し上げます。
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Thema:ワールドトリガー
Janre:アニメ・コミック