昔、とある所に世界一可愛いお猫様がおりました。
ワガママで女王様なお猫様は、自分の美貌を笠に着て、下僕をこきつかいました。
下僕は女王様の女王様っぷりに涙しつつもその可愛さに屈服して下僕の立場に安住し、そうして二十余年が経ちました。
長生きなお猫様でしたが、それでも少しずつ衰えていったある日、女王様は天に召されました。
下僕はこれで女王様のワガママに付き合わなくてすむかと思いきや、毎日ぼーっと過ごしております。
――愛猫の死後、私の心境はこうでした。
なーんにも、書く気がしない。
でも、放っておけばそのうち元に戻るだろう。
しかし、一か月たち、二か月たち……。
のんきな心境はこう変わりました。
なんでもいいから書かんとヤバい。
でも書けない。
でも書かないままでいるとホントに文章が書けなくなってまう。
それはやばい、でも何も自分の中から浮かんでこない。小説が書けない。
なら感想なら書けるか―それならなんとか。
でも毎日は無理。
ワートリ感想なら週一くらいだから、それぐらいなら書けるかなあ……。いや、書かなきゃ。
このままでいると、私はホントにダメになってしまう!
という危機感から、週に一度、無気力でへたばる体を引きずるようにして感想を書いていたのですが……まさかのワールドトリガー無期限休載!
あー……そうだよね、たびたび首の具合が悪くて休載なさってたもんね。
だましだましやっていたのが、とうとう本格的にいけなくなったのか。
ああ……読めないのがつらい。
そして、それより遥かに小さいけど、これでワールドトリガーの感想も書けなくなったなーまあいっかーと思っていたのですが、ですが!
そのまま二か月経過。その間、文章を一行たりとも書かなかったというていたらく。
ヤベえ……私、マジで何も書いてないよ……。
脳みそでは「何か書かなきゃ」と思っているのですが、身体が反応しません。
何も浮かばない……。
あのやかましくてあったかくて柔らかくて可愛くてゲーゲー吐いて我が儘でグルメだった女王様が死んでしまったということは、私にとって自覚する以上の欠落であったらしく、何か自分で自分の尻を叩かないことには書く気が起きない、という状態になってしまっています。ワールドトリガー連載時にはそれが週に一度のワートリ感想であったと。
あの子の夜泣きには手を焼かされました。しょっちゅうゲロ吐きする子だったので絨毯に至っては何枚駄目にさせられたことか、わかりません。でも、可愛い可愛い猫でした。
人から見ればたかだかペット一匹、猫一匹なのですが、当事者としてはとてつもない打撃です。
ペットロスってたかがじゃないです。
でもそれは、私も他人に対して同じようなこと思っちゃっていたなあと……ほんとごめんなさい。
猫が一匹にゃーと泣く。
私がそれにうるさいなあと思いながらも要求に応えてトイレを掃除したり、ゲロを掃除したり、ごはんを用意したり、遊んだり、ナデナデしたりする。
それが私にとって、どんなに幸せなことであったか。
たかが猫、また新しい猫を飼えばいいじゃん、という人もいるでしょう。
飼いました。
女王様がいなくなったあとの家が寂しくて寂しくて、また捨てられていた猫を引き取り、ナデナデしながら暮らしているのです……が。
今いる猫は可愛い猫ですが、やっぱり胸に穴が開いています。
あーペットロスって、こわいです。
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